絵でくじけそうになった時の話

こんにちは、ユーキです。

いつも楽しく描いている絵ですが、実は今年、頼まれた絵を描いていて くじけそうになった事がありました。

虹の間と月の間に飾る用の絵を柏原さんから頼んでもらった時の事。

虹の間にはニジマスを描きたいと、すぐにイメージは浮かびましたが、客室用の絵に使う画材が何が適しているのか分かりませんでした。

水墨画にすれば間違いないのではと思い、使った事はありませんでしたが、道具を購入して、きっと良い絵が描けると楽しみにしながら早速ニジマスを描いてみました。


なぜ実際描くまで分からなかったのか本当に不思議なんですが、上手く描けませんでした。

用紙も手を少し添えただけでシワが入ってしまいます。描きたいのは厚みを感じるしっかりとしたブランドニジマスのギンヒカリ。でも何度描いても想像している分厚さを表現できず、ヒョロヒョロした頼りない感じになってしまいます。写真を撮りに行き、構図を決め、ここまで来るのに数日かかっていて、さあやっと描けると楽しみにしていたのに、全く思った通りになりませんでした。

絵を描いていて、次どうすれば良いのか分からないという経験は初めてかもしれません。

途方に暮れてしまったその翌日、「あ!」と思い出しました。

私の住ませてもらってる寮が元旅館だという事です。絵も飾られていて、もしかしたら魚の絵もあったかもしれないと、探しに行きました。

有難い事に、昔住んでいたお爺さんの描いたヤマメの絵を発見しました。(許可をとってないので載せるのは控えます・・・)意外なことに水彩画でした。

あー・・・そうか。自分の使える画材で良いんだきっと。水墨画にすれば客室の雰囲気に合うと、ただそれだけで選んでましたが、ただ私は、厚みのある、養魚所で育てられたギンヒカリを表現したいし、お部屋に飾りたい、それだけに集中すれば良いんだと、お爺さんの絵を見て思いました。

声をかけてもらったのだから、私の表現で、背伸びせず、出来る限り描こうと思いました。

画材はいつも使うアクリル絵の具とパステルにしました。

それから数日後、完成したのは朝方、野鳥が起き始めた時間でした。その時の鳥の声が心地良かったです。

ニジマスの由来は諸説ありますが、お腹のラインがまるで虹がかかっているようだからという説があります。

なので1匹は虹をかけて、もう1匹は縁起の良い逆さ虹を表現しています。ギンヒカリは全て、養魚所で人に育てられますので背景は養魚所を表現する為に灰色にしました。
吾妻養魚所へ取材に行った時、色々と教えて下さった職員さんが「どうしても魚同士や床でこすれて腹びれがなくなってしまう事が多い」と話して下さいました。上手く伝わるか分かりませんが、この育てられたギンヒカリを描きたかったので、わざと腹びれを描いてません。

旅館のお部屋の中で、主張はせず、空間に添えるような絵にしたいと描く前から心がけてました。額縁の中のマットの色も、虹の間のテーマ色「薄香色」を意識しています。

お部屋で過ごすお客さまへの、おもてなしのほんの一部になれますと幸いです。

柏屋旅館では中之条ビエンナーレに伴い1Fライブラリーにて、アートを展示しています。(全5枚描き下ろしです)温泉で体を癒しながら、ほっこりとアートの旅はいかがでしょう。柏屋旅館のビエンナーレプランはこちらから♪

(ユーキ)

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